真面目でがんばる学生さんが就活で採用されない理由とその対策
ネットのニュース記事の中のコラムに書かれていたものの中で、ふと気になった記事を見つけました。
それは、真面目で成績優秀で技術も一定以上あるデザイナー志望の学生さんが四苦八苦しながらもなお採用されない奮闘記でした。
なんで、採用されないのだろうか?
人事担当者としての経験のあるぼくは、いろいろと考えを巡らせました。
新卒の就活で採用される人の特徴
一般的に、新卒の就職活動で採用されている人には以下のような特徴があります。
熱意と意欲
採用企業は、熱意や意欲のある人材を求めています。志望動機や自己PRを通じて、熱意や意欲をアピールすることが重要です。いわゆる仕事に対するやる気と探求心というものです。熱意と意欲がないと会社が求める仕事のスピードに追い付けないという事態になります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、ビジネスにおいて非常に重要なスキルの一つです。面接や説明会などで、自分の意見を明確に伝えることができ、相手に理解してもらえるコミュニケーション能力を持っていることが求められます。仕事においては、往々にして関連するメンバーと連携を取らないと企画がダメになったり、いざという時に足を引っ張られる可能性があるからです。
チームワーク
企業は、協調性のある人材を求めています。自分だけでなく、周りの人たちと協力し、チームとして目標を達成することができる人材を求めています。また、チームのメンバーに足りないものを補ったり、チームのメンバーが困っている時にサポートすることで仕事の成果がぐんと伸びたりするためです。
問題解決能力
ビジネスの現場では、問題が起こることがよくあります。そんな中、自分で問題を解決し、改善策を提案できる人材を求めています。仕事においては、ちょっとした連絡漏れや書類の不備、データの不足があったりするとトラブルになるので、そういう所に着目して、いかに滞りなく仕事ができるかを考えて、それを会社に提案できるかという能力です。先輩や上司の人たちが全員、問題解決能力がある人とは限らないのです。
マルチタスク能力
多岐にわたる業務に対応できるマルチタスク能力が求められます。複数のタスクを同時に進め、効率的に結果を出せる人材を求めています。仕事は常に複数のビジネスが進行している状態です。それぞれの仕事の進捗状況を把握して、的確に報告、連絡、相談を行い、それぞれのビジネスを滞りなく進めていく必要があります。
以上のような特徴を持った人材が、新卒の就職活動で採用されやすい傾向にあります。
就職できない理由
そういった中で、新卒の就職活動でデザイナー希望の人が就職できない理由には、以下のようなものが考えられます。
ポートフォリオが不十分
デザイン業界では、ポートフォリオが非常に重要な役割を担います。デザインの実績やスキルを証明するため、作品集を作成し、自分の力をアピールする必要があります。しかし、ポートフォリオが不十分であったり、作品の質が低かったりすると、企業から評価されず、採用されないことがあります。
就職先の選択が限られている
デザイン業界は、就職先の選択肢が限られている傾向があります。大手企業や有名デザイン事務所の求人情報は、非公開である場合が多く、就職活動を行っても情報収集が難しい場合があります。そのため、自分の希望に合った就職先が見つからないことがあります。
応募人数の多さ
デザイン業界は、魅力的な職種であるため、応募者数が多いことがあります。そのため、自分自身をアピールするためには、熱意や意欲をアピールするだけでなく、スキルや能力を磨き、差別化することが必要です。
業界知識が不足している
デザイン業界は、流行やトレンドが多く、常に変化しているため、業界知識が不足していると、企業から評価されないことがあります。自分が志望する企業や業界に関する情報収集や、専門的な知識を身につけることが必要です。
コミュニケーション能力の不足
デザイン業界では、クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションが非常に重要です。自分のアイデアや意見を伝えるためには、コミュニケーション能力が必要です。そのため、面接や説明会などで、コミュニケーション能力をアピールすることが重要です。
デザイナー希望の人が新卒の就職活動で就職できない理由には、ポートフォリオ不十分や就職先の選択肢の限られ方、応募人数の多さ、業界知識の不足、コミュニケーション能力の不足などが挙げられます。
また、デザイナーは、クリエイティブな能力やセンスが求められる職種であるため、その能力が十分に評価されない場合もあります。具体的には、自分の作品やアイデアを表現するための言葉や方法が不足している場合、企業から理解されず、採用されないことがあります。
さらに、デザイナーには、デザイン技術だけでなく、ビジネスやマーケティングに関する知識も求められます。企業にとっては、デザインがビジネス戦略の一部となっているため、ビジネスやマーケティングに関する知識があるデザイナーの採用が望まれることがあります。
以上のように、デザイナー希望の人が新卒の就職活動で就職できない理由は様々であり、自分自身の能力を向上させ、業界に関する知識を身につけ、コミュニケーション能力を高めることが必要です。また、就職先の選択肢を広げるためには、情報収集や交流活動、インターンシップなども有効な手段となるはずです。
この学生さんの記事を見ていると、就活に必要なことは最低限こなしているけど、ムキになって猪突猛進になっている感じもするのです。
真面目ゆえに損をしている事もある
それと、この話に出てくる学生さんは、真面目でがんばる優等生という感じでした。
真面目であることが不採用につながる場合があるかもしれないので掘り下げて考えてみました。
その理由としては、以下のようなものが考えられます。
過剰な真面目さが伝わる
真面目な人は、仕事に取り組む際には真剣に取り組む傾向があります。しかし、過剰な真面目さが伝わってしまうと、周りの人が気を遣ったり、緊張感が高まりすぎる場合があります。その結果、チームの雰囲気を損ねたり、仕事の進捗に影響を与えることになりかねません。
柔軟性に欠ける
真面目な人は、ルールや指示に忠実に従う傾向があります。しかし、柔軟性に欠けると、状況に応じて臨機応変に対応することができない場合があります。企業にとっては、変化に対応できる柔軟性が求められるため、柔軟性に欠けると不採用につながる可能性があります。
コミュニケーション能力が不足している
真面目な人は、自分の仕事に集中するあまり、周りの人とのコミュニケーションに時間をかけることができない場合があります。しかし、コミュニケーション能力が不足していると、チームワークがうまくいかず、仕事の進捗に影響を与えることになります。
以上のように、真面目な人が不採用になる理由としては、過剰な真面目さ、柔軟性に欠けること、コミュニケーション能力が不足していることなどが挙げられます。企業は、仕事を円滑に進めるために、真面目さと柔軟性、コミュニケーション能力のバランスが取れた人材を求めている傾向があります。
真面目な故に、そのバランスが取れていないのではないかと僕は考えました。
不真面目な人にも長所はある
一方で、コラムに出てくる学生さんとは対象的な不真面目な方がホイホイと採用されているケースも結構あり、不真面目な人が採用される理由としては、以下のようなものが考えられます。
コミュニケーション能力が高い
不真面目な人は、コミュニケーション能力が高い場合があります。コミュニケーション能力が高い人は、周りの人を和ませたり、チームワークを高めたりすることができるため、企業にとって魅力的な人材となります。ムードメーカーが1人いると仕事の効率が上がる傾向です。
柔軟性がある
不真面目な人は、柔軟性が高い傾向があります。柔軟性がある人は、変化に対応できるため、企業にとって重要な人材となります。物事を多方面から見つめられると問題の早期解決につながり、これも会社の利益につながります。
自己プロモーションがうまい
不真面目な人は、観察眼が鋭く自己プロモーションがうまい場合があります。自己プロモーションがうまい人は、自分の良さをアピールすることができるため、企業から求められる人材像に合致する可能性があります。
スキルや経験がある
不真面目な人は、その柔軟性の高さを活かしたスキルや経験がある場合があります。スキルや経験がある人は、その分野での知識や技術があるため、企業から求められる人材となります。また、真面目な方より視野が広い傾向があります。
以上のように、不真面目な人が採用される理由としては、コミュニケーション能力が高い、柔軟性がある、自己プロモーションがうまい、スキルや経験があるなどが挙げられます。ただし、企業によって求める人材像は異なるため、一概に不真面目な人が採用されるとは限りませんが、真面目と不真面目のバランスが大事だとも言えます。
再度、自己分析をしてみよう
そして、この学生さんが採用されるためにはどうすれば良いかをぼくなりに考えました。
それは再度、自己分析をしなおすというものです。
自分自身の強みや弱み、スキルや経験、興味や関心などを客観的に分析し、自己理解を深めることを再認識することが大事だと思いました。
それに、就活前と就活中では、いろいろと見えてくるものが違っているはずなので、より精度の高い自己分析が行えると考えました。
以下は、自己分析を行うための手順です。
自己分析の目的を明確にする
自己分析を行う目的を明確にし、どのような結果を得たいのかを考えます。例えば、自分が得意な分野やスキルを明確にする、今後のキャリアパスを考えるために自己分析を行うなど、目的に応じてアプローチを変えます。
自分のスキルや経験を洗い出す
自分が持っているスキルや経験をリストアップします。これには、デザインに関するスキルやツールの使用経験、コミュニケーション能力、プロジェクト管理能力などが含まれます。
自分の強み・弱みを明確にする
自分の強み・弱みを分析することで、自分自身の特徴を把握することができます。自分自身の良い点や得意なことを挙げることで、自己アピールやポートフォリオ作成に役立てることができます。また、自分の改善点を把握することで、自己成長に繋がることもあります。
興味や関心を把握する
自分が興味や関心を持っていることを把握することで、自分の適職や今後のキャリアパスを考えることができます。また、企業選びの際にも参考になります。
外部からのフィードバックを受け取る
自己分析は自己理解を深めるための手段ですが、自分自身だけでは限界があります。自分の友人や家族、バイト先の先輩や上司、またはキャリアカウンセラーなどに自分の強み・弱みやキャリアについて意見をもらうことで、新たな発見や視点を得ることができます。
以上のように、自己分析を行うことで、自分自身の強みや弱み、スキルや経験、興味や関心などを客観的に把握することができます。また、自分自身を客観的に見つめ直すことができるため、自分の改善点を把握し、自己成長に繋がることができます。
自己分析を行う際には、自分自身に対して率直に向き合うことが大切です。また、自己分析をすることで、自分自身の強みや興味・関心に合った企業を選ぶことができ、就職活動の効率化にも繋がることがあります。
自己分析を行う際には、自分自身に向き合う時間を設け、紙とペンを用意して、自分自身の強みや弱み、スキルや経験、興味や関心などを洗い出すことが大切です。そして、得られた情報をもとに、自己アピールやポートフォリオ作成、企業選びに役立てることができるはずです。
企業が募集をかけるのは会社の利益の為
また、真面目な性格でかつデザイナー志望が強すぎる故に、応募先の会社に利益をもたらす提案としての就活だという気持ちが薄い点も気になりました。
ではこの学生さんが応募先の会社に利益をもたらす事を提案するためにはどうすれば良いか?
この点についても考えてみました。
やるべき事は3つ。
1つ目は、応募先の会社に自分が持っているスキルや経験、知識をアピールすること
具体的には、自分自身がデザインした作品や、過去のプロジェクトの成果物を用いて、どのようなデザインスキルやクリエイティブなアイデアを持っているのかを示すことが必要です。
2つ目は、応募先の会社の事業内容や業界動向を調べ、応募先の会社にどのような価値を提供できるのかを明確にすること
例えば、応募先の会社が顧客のニーズに合った製品やサービスを提供している場合、自分自身が持っているデザインスキルを活かし、顧客のニーズに合ったデザインを提供することができるとアピールすることができます。
3つ目は、応募先の会社のWebサイトやSNSアカウントを調べ、同社が求めている人材像や採用条件を把握すること
自分自身が応募先の会社の求める人材像に合致していることをアピールすることで、応募先の会社に貢献できる人材であることをアピールすることができます。
以上のように、自己分析を通じて自分自身が持っているスキルや経験を明確にし、応募先の会社にどのような価値を提供できるかを具体的に示すことが、応募先の会社に貢献することを提案する方法となると考えました。
まとめ
就職活動は、さまざまな世情、時代背景、景気、災害などによって結果が変動するので、一概にはこれが正解とは言えませんが、ただただ、自分自身の状態を嘆いたり、これが自分だと意地になって猪突猛進に就活したりするよりは、今一度自分自身を振り返ってみることが大事だと思います。
ここまでお話したことをまとめますと
自分自身の属性の反対の人にも見倣う点があり、それをうまく使えば有効な武器になる
定期的に自己分析をして、新しい自己分析情報にアップデートする
自分がその会社に入れば「儲けさせることができる」という意思を持って就活する
この3点が、デザイナー志望の方のみならず、他の業界志望の方にもできる就職活動のアプローチ方法になるのではないでしょうか?
それでは、若い人たちが無事志望するお仕事に就けることを願っております。
ご質問などがありましたら、お気軽にコメント欄にどうぞお書きください。